極彩色に彩られた繁栄への願いと雪景色にみるベースカラー

平城京から平安京。
遷都の物語に、幻の都があったと言う。
教科書にも載らない都の名前―長岡京―。
そんな幻の都があったここ京都府長岡京市から、京を切り取る今日のいろ。

 

大政奉還は、慶応3(1867年)に起きた出来事。
江戸幕府最後の将軍である徳川慶喜が、政権を朝廷に返上しました。
今年、平成29年(2017年)は大政奉還から150年。
ここ京都では、今年一年間「大政奉還150年記念プロジェクト」を開催しています。

大政奉還と言って思いつくのは、世界文化遺産元離宮二条城
修学旅行などで一度は訪れたことがあるのではないでしょうか。
今日の二条城は、底冷えの京都ならでは。
雪降る二条城です。

二条城の唐門は、国宝、二の丸御殿の正門となります。
こちらは、2013年に改修工事がありました。
金箔や漆塗り、「松竹梅に鶴」「唐獅子」「蝶」などの彫刻が改修され、唐門の極彩色がよみがえっています。

極彩色とは、特に「この色」と言うわけでありません。
「色々な色を使ってけばけばしく派手」なことを言います。
極彩色の唐門はとてもきらびやかですが、雪に覆われると鈍い色です。

大政奉還が宣言されたのは二の丸御殿の大広間です。
この二の丸御殿内部には、たくさんの金碧障壁画が残っています。
大政奉還が宣言された大広間の障壁画は狩野派の作品で、金色の地に、あおあおとした松の絵が描かれています。
松は針葉樹。
松の葉は一年中あおあおとした深い緑色です。
枯葉にならずに一年中あおあおとした松は、徳川の繁栄を表すと言われています。
金箔はイエローベース。
その上に描かれた松は、ブルーベースの深く暗い緑。
ちぐはぐかと思える、金箔と暗い緑の配色。
これが正に極彩色。
そして御殿内部は、金箔障壁画だけではなく、天井さえも極彩色。

そんなきらびやかな二の丸御殿から外を見ると、特別名勝二の丸庭園です。
御殿の内部保存のため、通常は閉まっている障子ですが、1月30日まで150年プロジェクトの一貫として、二の丸御殿大広間の障子開放が行われていました。
極彩色の二の丸御殿の大広間から見る二の丸庭園は雪景色。

あおい針葉樹の庭木や岩の色は、ブルーベースで落ち着いた色彩です。
ブルーベースの真っ白い色の雪も積もって、花の無いこの季節ですから、余計に寒々しく感じます。
米国の日本庭園専門誌『ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング』では日本全国の優れた庭園が選ばれていますが、この二の丸庭園は、平成17年(2005年)では693か所中10位。
平成18年(2006年)では、731か所中8位と、海外でも評価されています。

二条城は、江戸幕府を開いた徳川家康が築城しました。
その二条城で、15代将軍徳川慶喜は政権を朝廷に返上し、江戸時代に幕を引きました。

二条城は築城から400年。
庭園の色も極彩色も、まだまだ色褪せません。

 

杉原康子ライター:杉原康子
【資格など】ベースカラー診断士、パーソナルカラーアナリスト、CLEインストラクター、A・F・T 1級色彩コーディネーター、長岡京生涯学習人材登録講師、中国国家認定 中国茶芸師(プロフィールページへ