ビールにも第3の波 クラフトビールにみるアメリカ人の嗜好の変化

サードウェーブコーヒーの全盛を迎えた数年前、同時期に台頭してきたのがクラフトビールブームのアメリカ。
そのブームは世界中に飛び火し、今や日本の大手メーカーもこだわりのビールを出すまでにブームは続いています。

ビールにも第3の波 クラフトビールにみるアメリカ人の嗜好の変化

ビールにも第3の波 クラフトビールにみるアメリカ人の嗜好の変化

(そう規模が大きくないスーパーのビール売り場もこの通り)
クラフトビールの流れとサードウェーブコーヒーの流れは非常に似ている。

 

私がアメリカに住み始めた20年前、コーヒーはしゃばしゃばの薄味でした。
田舎だったためスターバックスも単体のお店ではなく本屋の間借り店しかないところ。
アメリカのほとんどは田舎のため、そういう意味ではスターバックスのブレイク前。
その後何年もかからずに田舎にもスターバックスは広がり、美味しいコーヒー(厳密には今までより)を飲めるようになったわけです。
この状況がセカンドウェーブ。
サードウェーブとは日本にも進出したブルーボトルコーヒーに見られる一杯一杯ドリップする手をかけて味を追求するスタイルに人々は魅せられます。
ブルーボトルコーヒーが日本の喫茶店のスタイルに影響を受けたのは有名な話。

 

そのコーヒーとまったく同じ流れになっているのが現在のクラフトビールブーム。
一昔前のアメリカのビールと言えば大手のバドワイザーやクアーズが全盛期。
日本では喉越しやキレが大事とされ、漢字に直せば超辛口のビールが大人気で育った私。
コーヒーと同じくその軽い味わいにショックを受けたのを覚えています。
ただ、アメリカ人を見ているとその薄いビールをサクサク飲むのでこれは酔わないための手かと思ったり。
その軽い味わい(ペールラガー)の次に出たのが大手が発売するこだわりのビール。
有名なのがSamuel Adamsです。
「“BETTER BEER” DID NOT EXIST」Jim Koch(Samuel Adams現会長・元CEO)はその熱い想いで高祖父のレシピでビールを作り始めボストンラガーが誕生します。
最初はボストン周辺のバーやレストランに置いてもらうだけでした。
今まで飲んでたビールと全く違う味わい、独特の苦味。
Jimのビールへの情熱がアメリカ人のビールの概念を変えたと言っても過言ではありません。
それまで薄い色の軽い味わいがビールであったアメリカ人にとって琥珀色のラガーの味はどんな風に写ったでしょう。
人気となったSamuel Adamsはその後生産量が増え東海岸だけでなく西海岸まで全国に流通させることに成功。
あっという間に全国区のメーカーへ成長。

 

軽いビールから卒業し、各メーカーの追随でいろんな味のビールが飲めるようになったアメリカに第3の波が来たのがCraft Beerの台頭です。

What is craft beer?

Small➡生産量600万バレル以下(約700万リットル)
Independent➡独立している、大手の傘下に入っていない
Traditional➡伝統的醸造法、材料で作られ、風味付されただけのビールは認められない。
(Definition by Brewers Association)

 

このクラフトビールの流行のきっかけはIPA。
IPAとはビールの一種で、India Pale Aleの略です。
ホップを最大限に活かした味と香り、キレのある苦味。
アメリカ人はあっという間にIPAの虜に。
アメリカではクラフトビールのブームからマイクロブリュワリー(小規模醸造所)も増え、併設レストランは大人気。

ビールにも第3の波 クラフトビールにみるアメリカ人の嗜好の変化

奥に見えるのが醸造中のタンクです。

 

そんなブリュワリーレストランで人気なのが少量ずつ飲めるサンプラー。

ビールにも第3の波 クラフトビールにみるアメリカ人の嗜好の変化

この中から好きなものをピックしてオーダー。
写真はHonolulu Beer Works。
クラフトビールの流行は本土だけでなくハワイにも上陸。

 

さて、ハワイだけでなくもちろんここカリフォルニアでもたくさんもクラフトビールが作られています。
まずはサンフランシスコ
Anchor Brewing 1893年創業アメリカ最古のクラフトブリュワリー。

ビールにも第3の波 クラフトビールにみるアメリカ人の嗜好の変化

キャップにはアメリカで最初のクラフトビア−ブリュワリーと書いてあります。
最初であり最古。
こんな歴史あるブリュワリーがサンフランシスコにあるんです。

 

ビールにも第3の波 クラフトビールにみるアメリカ人の嗜好の変化

こちらはSierra Nevada Brewing
秋の4種類パックです。

カリフォルニアで作られているビールです。

ビールにも第3の波 クラフトビールにみるアメリカ人の嗜好の変化

 

さて、みなさんビールコラム読んでるとビールが飲みたくなりませんか?
この写真をみて、どれがお好みでしょう?
私たちは見た目で味を想像できますので、色が濃いと味が濃いと感じます。
ビールの場合は濃いビール=苦いと想像しますね。
軽いビールがお好みの場合右から2番めを選ぶだろうし、濃い目がすきだったら一番左、もしくは一番右など見た目でその味を想像しますね。

 

たとえば、以前IPAを頼んだ時に想像より薄い黄色のビールが運ばれたとき、間違えてるんじゃ?と思いつつ飲んでみたら味はIPAでした。
見た目で判断しているのがわかりますね。
ビールの色は麦芽の種類や色で作られています。

 

ペールエール

黄色いビールは爽やかなイメージ。
苦みも強くなく花の香りフルーティなものもあります。

 

ラガー

深い黄みの橙をしたラガーはみるからにモルトとホップが効いて喉にコクを与えてくれそうです。

 

IPA

深い黄みのIPA。
ホップのフレーバーとアロマ、苦みのバランスがビール好きにたまらない今もっとも熱いビールスタイル。

 

ブラウンエール

キャラメルやチョコレートを想像するブラウン(暗い黄みの橙)、ビターなのに甘みを感じるのど越しではなくゆっくり味わうビールです。

 

橋本聖子ライター:橋本聖子
【資格など】ベースカラー診断士、パーソナルカラーアナリスト、CLEインストラクター
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