来る春を告げる道真公ゆかりの紅梅と白梅

平城京から平安京。
遷都の物語に、幻の都があったと言う。
教科書にも載らない都の名前―長岡京―。
そんな幻の都があったここ京都府長岡京市から、京を切り取る今日のいろ。

「 東風(こち)吹かば 匂ひおこせよ梅の花 主(あるじ)なしとて春を忘るな 」

春に東風が吹いたら、大宰府へ香りを送っておくれ梅の花よ。
主人のこの私がいないからと、春を忘れるなよ。

来る春を告げる道真公ゆかりの紅梅と白梅

立春が過ぎ暦は春。
それでもまだまだ寒い京都。
寒さに背中を丸めて目線を落として道を行けば、どこからか芳しい香り。
辺りを見回すと梅の花。
確実に春が来ていることを告げている。
主の菅原道真がいなくても、今年も梅は春を忘れずに咲いている。

来る春を告げる道真公ゆかりの紅梅と白梅

梅の花の名所は数あれど、春のご利益も求めて北野天満宮
ここは全国に約1万2,000社ある天満宮、天神社の総本社。
それぞれの天満宮、天神社に御霊分けされたご祭神は菅原道真。

楼門の扁額には「文道大祖・風月本主(ぶんどうのたいそ・ふうげつのほんしゅ)」と掲げられており、学問に長け、和歌、漢詩の才能に満ちた道真公を称賛した言葉。
ここは学問、その他芸事にご利益があると言われています。

梅が好きだった道真公。
北野天満宮境内には菅原道真公ゆかりの梅50種、約1,500本が、花の季節を先駆けています。

毎年、2月上旬から3月下旬まで開放される梅苑。
今年、平成28年の冬は暖かく、梅の開花も早めのため、1月下旬からの公開となりました。

梅の花は紅と白。
紅梅の赤は薄いピンク色、濃いピンク色、黒かと見紛うほどの濃い赤など、様々なブルーベースの赤。
白は真っ白なブルーベースの白、少し黄みがかったイエローベースの白。
緑を帯びている白。
梅苑の中は白と赤のコントラスト。
更には、一本の枝に白い花と赤い花が咲く種類「思いのまま」。
昇り龍のような枝ぶりの「雲龍梅」。

いずれも赤と白。
二色がそろうとなにやらめでたい。
なにやら吉兆があるような。

春近いぼんやりした青空を覆い隠すことはできないほどの小さい梅の花。
派手さはなくても道真公が好きだった梅の花。
北野天満宮のご神木「紅和魂梅」は紅梅。

日本のあちらこちらにある道真公ゆかりの天満宮。
今は盛りの紅梅、白梅。
どちらの梅が美しいのか芳しいのか。
今日も道真公は天満宮を巡って様々な願いをかなえつつ、どちらの宮で花見でしょうか。

みなさまのご近所の天満宮の梅は、咲いていますか。

きょうの色

紅梅色(こうばいいろ):やや紫がかった淡い赤。

 

杉原康子ライター:杉原康子
【資格など】ベースカラー診断士、パーソナルカラーアナリスト、CLEインストラクター、A・F・T 1級色彩コーディネーター、長岡京生涯学習人材登録講師、中国国家認定 中国茶芸師(プロフィールページへ