平安の都、京を切り取る今日のいろ「祇園祭」

平安の都、京を切り取る今日のいろ

平城京から平安京。
遷都の物語に、幻の都があったと言う。
教科書にも載らない都の名前―長岡京―。
そんな幻の都があったここ京都府長岡京市から、今回は平安の都、京を切り取る今日のいろ。

 

油照り、京の夏いろ

盆地の京都の夏の暑さは、地上すべての水分が蒸発してしまいそう…。
私は神奈川の湘南育ちなので、夏と言えば波の音と潮の香り…海風遠いこの暑さには参ります。
そんな暑い京都。
夏の京都はなんと言っても祇園祭。
7月1日から31日まで、みっちり祭りのスケジュールが決まっており、千年以上の歴史を持つ祇園祭はユネスコ無形文化遺産 (文化庁HP)に登録されています。

見所は山鉾巡行。
豪華絢爛、赤を基調にした色とりどりの刺繍で飾られています。

平安の都、京を切り取る今日のいろ

なぜ赤が基調なのでしょう。

それは祇園祭の起源から推察されます。
元々祇園祭は、今からおよそ1100年前に流行した疫病を封じ込める病魔退散を祈願したことがこと始めとされています。
赤は魔力や災厄を防ぐ色と考えられてきました。
病魔退散にはうってつけの色だと言うことです。

平安の都、京を切り取る今日のいろ

しかし実は、赤い色は見ているだけで体感温度が上がると言われている色です。
この暑さで赤い山鉾に巡行されたら、人の熱気も相まって、街の温度も上昇しそう。
でもこれが、千年の都にふさわしい夏のいろ。
7月31日の疫神社夏越際・茅の輪くぐりまで祇園祭は続き、立秋を経てお盆、五山の送り火が終わる頃、京都の夏も終わるのです。

 

おまけの夏いろ

子どもがまだベビーカーに乗っている頃、山鉾巡行を見学していますと、行列で歩いている子どもさんがこちらにかけて来て、なんと、うちの子どもにちまきをくださいました。
それを見ていた私は大喜び。
『今日のおやつは粽だ!』

ところが、 祇園祭の茅巻(ちまき)とは厄除けであり、あのみずみずしい、つるんとした羊羹は入っていないのです…。
いくら無病息災の縁起物と言えど、目で見るだけではなく、やはりおなかの中にも涼が欲しいところ…。

ひらひらしっぽのピンクの金魚ちゃんそんな時は、地下鉄鞍馬口駅徒歩3分ほどの、幸楽屋(こうらくや:HPなし)さんへ。
こちらでは、目とおなかで涼を感じられるなんともかわいらしい和菓子があります。

今は中学生の息子が幼稚園のころから、夏になると「食べたくなる」夏の和菓子です。
ひらひらしっぽのピンクの金魚ちゃん、透明な青い『金魚鉢』と、せせらぎの音が聞こえてきそうな『水面』。

青色は赤とは対照的に、水や氷を連想させるところから体感温度を下げると言われています。
透明感が相まって、赤とは対照的な、『見て涼しい色』の代表選手の水色が、見た目も手伝ってなんとも体を涼しくさせます。
きんと冷やした緑茶と一緒に、風鈴の音も添えて。

そんな風に、京の夏は過ぎて行きます。

 

杉原康子

ライター:杉原康子
【資格など】ベースカラー診断士、パーソナルカラーアナリスト、CLEインストラクター、A・F・T 1級色彩コーディネーター、長岡京生涯学習人材登録講師、中国国家認定 中国茶芸師

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